Design Principle
ペパボのデザインプリンシプル
ペパボのデザインにおいてベースとなる価値観・行動指針を次のように定め、ペパボのミッションを実現するために日々の意思決定の指標としています。
Fundamental Design Principle
やっていきを創出し、のっていきを肯定する
ユーザーは単なる消費者ではなく、ペパボとともに「もっとおもしろくできる(MOD)」を拡大再生産してくれる存在です。
ペパボは、ユーザーのクリエイティビティやリーダーシップおよびそれを発揮する「つくる人」を創出し、フォロワーシップを伴う行動およびそれを発揮する「のっていく人」を肯定します。
人の好奇心と知性を信じる
ユーザーは自身の仕事や活動をMODだろうと、ペパボは信じています。 MODにおける “おもしろい” とは “Playfulな状態”、すなわち
- 物事を違った角度から見る
- 新たな発見がある
- 創造性が刺激される
- 良質なおもちゃで遊んでいるような楽しさ
- 期待を上回る意外性
を持っているものや行動であり、「柔軟性・間口の広さ・余白・ヌケ感・隙がある」デザインを提供することでPlayfulな状態を導くことができます。
これには人の持つ好奇心や知性を信じ、信頼することが必要です。
自分たちの遊び心も大切にする
ユーザーに限らず、自分たちももちろんMODです。デザイン思考に基づき、結果から原因を推測するような仮説推論をベースに考えます。
ファクトとロジックから結論を導きはすれど、ファクトのみに頼るような受け身のデータドリブンではなく、言語化されていない価値や気づきを大切にし、それの確度を高めて蒸留した新たな価値として提案します。直観の言語化を諦めません。
自分たちの判断に将来的な多様性を持ち、自分たちの判断基準を常にアップデートし続けます。
全体と細部を美しく仕立てる
表層的な美しさはプラスαの価値のように思われますが、製品自体や製品を使った後に発生する評価に関わる、優先度の高い項目です。
美しさとは「客観的に判断される美」のことであり、認知負荷が低い状態のことを言います。つまり、目に入る対象にパターンや構造の法則を見いだすことができると、処理流暢性が高まり、対象の認知・理解へ繋がります。また、認知負荷が低く美しいものを「使いやすそうだ・わかりやすい」と思ってしまう、美的ユーザビリティ効果を発生させます。
「使いやすい」というのは使ってみないと評価できないことですが、表層的な美しさを備えることはユーザーが「使う前」に使いやすさを感じさせるトリガーとなり、信頼性や選好性を誘発させるために重要な項目です。
Product Design Principle
ユーザーファーストであること
個人の気持ちとしてのユーザーファーストに留まらず、プロダクトデザインに関わる組織的意思決定がユーザーファーストで行われることを推進します。すでに顕在化しているユーザーのニーズを追うだけではなく、将来のデマンドを生み出し、それを充足させるプロダクトをつくります。
また、局所最適・個別最適ではなく、データドリブンで群に対しての全体最適を行います。ユーザーを取り巻くマーケットやテクノロジーの環境についても、ユーザー視点を持つことが重要です。
工夫、発見の余地があること
“easy”な道具ではなく“simple”な道具をつくることで、工夫や発見の余地が残り、プロダクト側がやり方を定めるのではなくユーザー側が自分ならではの使い方をしたり、他のツールと組み合わせて使ったりすることができるようになります。
ユーザーが「できることを増やす、やることを減らす」を徹底していくことで、プロダクトは「道具としての良さ」をもつことができます。また、ツールはユーザーが最大効率でタスクをこなせるものであり、それを一切阻害しないことが求められています。
アクセシブルであること
アクセシビリティとはプロダクトにプラスαする優しさではありません。配色やフォントサイズなどを考慮して視覚的にヒューマンリーダブルであるだけでなく、プロダクトの向こうにある情報やその操作のためのインターフェイスがマシンリーダブルであることが重要です。
そのためにはメディアや素材の特性に合わせ、適切に技術に依存することが必要になります。また、ユーザーの意思や行動を阻害しないこともアクセシブルであるといえます。
Communication Design Principle
ファンファーストであること
コミュニケーションが行われるネットワークレベルを意識した戦略・戦術をもちます。個別のタッチポイントにおけるデザインのみに着目するのではなく、全体の関係性ネットワークを構築し、ブランドとしての体験の一貫性を保持します。
そのネットワークのハブになってくれるのがファンであり、優先順位として意識します。
自分たちの信じる価値基準を提案すること
「良さ」の価値基準を他者に委ねず、自分たちのサービスの価値や意味を明確にします。
また「なにができるか」の機能訴求だけではなく「それでなにが得られるか」というメリットを訴求することが重要です。さらには、競合サービスとは異なる自分たちのサービス独自の意味・意義を訴求することで、ファンを増やします。
そして、その価値や意味を伝える言葉を「製品言語」として定義し、私たちとユーザーが語れるようにしていく状態を目指します。
メッセージとその表現を最適化すること
メッセージを明確に定め、ターゲットにもっとも伝わる形で表現します。その結果として私たちが求める認知・行動の変容を導きます。これをゴールとして定めます。
伝える内容と同じぐらい「どう伝えるか」も重要です。メッセージの表現には言語的表現・非言語的表現があり、これらを使い分けて活用します。この使い分けを事前に言語化しておく(情報設計)ことで後ろの工程が整理され、つくりやすくなるのです。
また、これらの言語的・非言語的コミュニケーションにおけるトーンを使い分けることで、ブランドとしての一貫した振る舞いを保ちます。