Overview

アクセシビリティとは、私たちのサービスやプロダクトへの「アクセスのしやすさ」を意味する言葉です。単に「利用できる」だけでなく、年齢や性別、心身の状況、利用している環境(デバイスや通信速度など)に関わらず、誰もが提供される情報や機能を平等に・当たり前に利用できる状態を目指す考え方が根幹となっています。

「できる人ができない人に優しく・思いやりで対応する」といった配慮ではありません。誰もが情報やサービスにアクセスしアウトプットできる環境を、当たり前の・基本的な権利として目指しましょう。

なぜアクセシビリティが重要なのか?

私たちは、多様なユーザーに向けてサービスを届けています。そして、ユーザーが置かれる状況もまた多様です。いくつかの状況を想像してみましょう。

視覚に依存できない状況

目が不自由な方は、スクリーンリーダー(スクリーン上の情報を音声で読み上げるソフトウェア)を聴覚で情報へアクセスしています。画像にその内容を説明する代替テキストが設定されていなければ、そこに何があるのかを知ることはできません。また、色の区別がつきにくい方にとっては、色だけで情報を伝えるデザインは意図した通りに機能しません。 移動中にイヤホンでコンテンツの読み上げを聞いている場合など、閲覧者の事情だけでなく環境によっても視覚だけに依存したコミュニケーションでは情報へアクセスできない場合があります。

音声に依存できない状況

聴覚に障害のある方や、騒がしいカフェ、静かな図書館など、音声を出せない環境では、動画コンテンツの字幕や文字起こしによって情報へアクセスしやすくなります。

マウスに依存できない状況

一時的に手を怪我した人、身体的な理由で細かいマウス操作が難しい人、あるいは単純にキーボード操作を好む人もいます。キーボードだけで操作できることは、多くの人にとっての利便性向上に繋がります。 もちろんマウスの利便性も決して否定されるものではなく、GUIにおけるポインティングデバイスでの直接操作はコンピュータの学習しやすさなどに繋がっています。

あらゆる人が情報へアクセスできるよう、操作対象は一定以上の大きさで、不用意にスクロールなど操作をロックしない、などさまざまな入力手段に対する観点が必要です。

このように、アクセシビリティの欠如によって不便を感じる状況は、障害の有無に関わらず、誰にでも起こり得ます。アクセシビリティを高めることは、限られた一部の人のためだけではなく、あらゆる人が個別にさまざまな体験、アウトプットをしていくことに繋がります。

アクセシビリティの4つの原則

私たちは、国際的なガイドラインであるWCAG(Web Content Accessibility Guidelines)が示す4つの原則を指針としています。この原則は、私たちのサービスがすべてのユーザーにとって使いやすいものであるために、何をすべきかを示しています。

知覚可能 (Perceivable) - 情報が、きちんと伝わること

ユーザーは、提供される情報を自身の感覚で認識できなければなりません。

  • 画像には、その内容を説明する代替テキストを用意する。
  • 色だけでなく、形やテキストでも情報を区別できるようにする。
  • 動画には字幕を提供し、誰でも内容を理解できるようにする。

操作可能 (Operable) - 誰もが、かんたんに操作できること

ユーザーは、インターフェースを問題なく操作できなければなりません。

  • すべての機能をキーボードだけで操作できるようにする。
  • ユーザーがコンテンツを読み、操作するために十分な時間を提供する。
  • クリックやタップの対象が小さすぎないように、十分な大きさを確保する。

理解可能 (Understandable) - 迷わず、直感的に理解できること

ユーザーは、情報の意味と操作方法を理解できなければなりません。

  • 専門用語を避け、明確で分かりやすい言葉を使う。
  • ナビゲーションやレイアウトに一貫性を持たせ、ユーザーが迷わないように設計する。
  • 入力エラーが発生した際には、何が問題で、どうすれば解決できるかを具体的に示す。

堅牢 (Robust) - どんな環境でも、安定して利用できること

ユーザーが利用する技術(OS、ブラウザ、支援技術など)が進化しても、コンテンツは確実に解釈されなければなりません。

  • ウェブの標準技術に準拠し、様々なブラウザや支援技術で正しく表示・機能するように実装する。
  • 将来の技術的な変化にも対応できる、安定したコードを提供する。